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イノベーション

Web3

■Web3
Web3は今回の大きなトピックの一つでした。
NFTはアメリカでも成功事例や投資事例が出てきている段階で、立ち上がり期の印象を受けました。パネリスト側にはNFTアーティストも投資を受けたスタートアップもいましたが、オーディエンス側ではウォレットを持っている人も半数、NFTを買ったことがある人は1割、NFTの二次流通で利益を取ったことがある人はいない、というような状況でした。また、パネリスト側も、「まずはウォレットを有効にしてNFTを買ってみろ、今からやれば先頭グループに入れる」と盛り上げようとしているような感じでした。アートはすでに投資対象になっていますが、個人向けには後述のグッズやスキンの方が市場が広いような印象を受けました。
DAOについては、FWBの人が言っていた「銀行口座を共有するグループチャット」という例えが非常にわかりやすかったです。こちらもケーススタディや苦労話が多く、立ち上がり期の印象でした。ただ、大量の資金調達をして投資をしているDAOだけでなく、個人が運営するメディアの記事作成のDAO、ウクライナ支援の寄付を募るDAOなど、規模の小さい組織でも手が届くようになってきているという話があり、ツールも揃ってきている印象を受けました。ガバナンスに人の意思が入らず政治が起きにくいので、いくつかのDAOの創始者は「自分ですら思うようにはコントロールできない」と言っていました。最近流行り?のミッションドリブンな組織には向いているのかもしれません。税務や法律周りの質問についてはパネリスト側も「課題だ」として返答できず、苦笑いしていたのが印象的でした。
■メタバース
XRとメタバースも大きなトピックでした。
個人的にはセカンドライフのアップダウンを見ているのでかなり懐疑的だったのですが、デバイスと撮影にかかるコストの下がり方次第では一定普及するような印象を受けました。メタのマークザッカーバーグに真面目に全方位に投資すると語られて、もしかして、、と思ってしまった感じです。収益化の面ではメタバース内のグッズやスキンをNFTで販売するというのが非常に理にかなっている感じがしました。また、VRライブの分野はすでに事例も出てきており、オンラインゲーム参加者と相性が良さそうに思いました。VRライブは既存のVODと何が最も違うのかという問いに対して「周りの人とコミュニケーションできるインタラクティブ性」という答えがあり、DiscordとYouTubeの代替かーと思う一方で、現状のテキストや動画の非同期コミュニケーションの代わりにはならないな、という印象を受けました。
■音楽
音楽分野はいくつかのトピックがありました。
>Web3
音楽分野でもWeb3はトピックとして取り上げられていました。アーティストの楽曲の一部をNFT化して所有権をファンに渡して一緒に作る話や、グッズのNFT化の話も出ていましたが、全体としてなんとなく冷ややかで、レーベルや出版社のセッションでは取り上げられもせず、質疑で「NFTは?」と聞かれて「NFTは価値を生んでない」と答えた登壇者がいたのが印象的でした。
>収益源
コロナの影響は大きく、今までメインの収益源がツアーとグッズだったアーティストの多くがコミュニティづくりに目を向けるきっかけになったようでした。重要になったのがTiktokやInstagram、Twitterなどのファンとのやりとりのツール、ファンのロイヤリティを直接月次収益に変えるPatreon、という印象でした。NFTもこのコミュニティづくりの一部として語られる文脈が多かったです。またVRライブ+バーチャルグッズのNFTという話もコロナをきっかけに動いたようでした。
>音楽業界
音楽の発見の場としてはTikTokが存在感を上げていました。逆にSpotify、YouTube、各種プレイリストは全く話題に出てこず、4年前と世界が変わった印象でした。一方でDIYは相変わらず元気でツールも増えており、こちらはよりトレンドが強くなっている印象でした。また、サブスク全盛になったことでカタログ作品が非常に強くなり、新譜一辺倒だった業界に変化が起きていること、著作権の収益性が高くなってファンドが入ってきたこと、出版とレーベルの取り分に差があることなどが語られていました。